ある夜の出来事 3

 マスターは、ぐいっ、ぐいっと縄を引っぱっていき、僕の身体はどんどん持ち上げられていきました。やがて、床に着いているのは両肩と後頭部だけ、という格好になりました。このあたりまでは、僕も経験した事があります。マスターは手を休めると、僕の様子をうかがいました。そして、
「いいな、上げるぞ」
 そう声をかけてから、また、ぐいっと縄を引っぱりました。その瞬間、僕の足首を、さらなる痛みが襲いました。皮膚が引きつられるような、激しい痛みです。ほとんど身体は吊り上がり、かろうじて頭だけが床に着いている状態でしたが、このまま吊り上げられるのは無理かな、と思う程のレベルだったのです。再びマスターに、
「大丈夫か」
と声をかけられたので僕は、
「足が痛いです…」
と訴えました。マスターは、
「ここがガマンできないと、ぜんぶ上がらないぞ」
と言うと、足首の縄の位置を微妙にずらし、また少し縄を引きました。さらに身体が持ち上がったのですが、先ほどの激しい痛みは薄れていました。足首の縄がうまく収まり、皮膚を引っぱることはなくなったのでしょう。マスターが、
「どうだ?いけるか?」
と声をかけたので、僕はうなずきました。すると、マスターが縄をぐいっと引いて、僕の身体はとうとう、ふわっと宙に浮いたのです。
 今までに味わったことのない浮遊感が、僕の身体を包みこんでいました。逆さまに吊られた僕の身体が、かすかに前後に揺れています。身体と心が切り離されるような、不思議な気分でした。足首の痛みも一定の強さに収まり、それも次第に慣れてゆきます。僕はしばらく、自分が恥ずかしい姿であることも忘れて、その感覚を純粋に楽しんでいました。

 もちろんマスターにしてみれば、足をY字に開いて、逆さまに吊られた僕のすべては丸見えです。何しろ目の前に、僕の股間があるのですから…。マスターは、僕の股間を確かめるように触り始めました。そして僕のペニスにも、お尻の穴にも、ぬるぬるとしたローションを塗りつけ始めたのです。僕は、あこがれのマスターに、こんな風に吊ってもらえて、カラダの全てを触ってもらえる喜びにひたっていました。マスターの手に興奮し、勃起していました。やがてローションを塗り終わったマスターは、いよいよ僕のお尻の穴に、指を差し入れたのです。
 マスターは、慣れた手つきで、僕のお尻の内側をチェックしています。僕はまるで、お尻の穴でマスターの指をしゃぶるような気持ちになって、お尻の穴に力を入れたり、ゆるめたりしました。
「んんっ、結構やわらかいな、お前。相当やってるんだろ。これだけ柔らかければ、フィスト(握りこぶし全てを入れる事)まで訓練してやってもいいぞ」
 僕のお尻に指を出し入れしながら、マスターが声をかけてきます。
「おいっ、今何本入ってるか分かるか?」
僕が、
「に、2本ですか…?」
と答えるとマスターは、
「3本だぞ、ほら。ずっぽり入ってるぞ」
と、いやらしい口調で教えてくれたのです。確かに、お尻のオナニーで自分でも訓練し、それなりに広げていたのは事実です。しかし、マスターからその言葉を聞くと、さすがに僕は恥ずかしくなってしまったのでした…。

つづく

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