プライベート調教1

 僕の身体は、限りなく愛撫され、限りなく満たされていきました。心が身体から解き放たれて、自由になった気がしました。まるで、離れたところから僕の身体を観察しているもう一人の僕がいて、その全身から送られてくる快楽の信号を受け取っているような気分でした。
 きっと、男の人は、愛情を注いでくれたのでしょう。男の人に裸で縛られ、お尻に張り型を入れられ、吊るされ、ペニスをしごかれる…、普通では考えられない行為の中にも、確かに愛情は存在するのです。何らかの形で愛情を感じられた時に初めて、心は満たされ、そして自由になれる、そんな気がしていました。究極の束縛でありながら、自由を得られる手段、これが、僕の感じたSMの印象です。
 だんだん意識がぼんやりとして、身体のもやもやとした快感が密度を増し、それは頂点に達していきました。そして次の瞬間、僕はドクドクと精液を放出したのです。
 急速に身体の感覚が戻り、吊り上げられた身体の部分に体重を感じました。男の人は、僕の身体を支えながら、手早く縄をほどき、張り型を抜いて、楽にしてくれました。僕は、しばらく放心した状態のまま、そこにしゃがみこんでいました。やがて男の人にうながされ、またシャワーを浴びに行ったのです。
 実際のところ、吊られたままでイってしまった後のことは、もうほとんど記憶にありません。シャワーを浴びてから、どんなやりとりをしたのかも、忘れてしまいました。ただ、十分に満たされた気分と、少しの恥じらいの中で、その部屋を後にしたのだと思います。
 吊られたままで、あんなに激しく責められたのは初めてでした。翌日からしばらくの間、太ももには筋肉痛が残り、会社では、椅子に座っていて身体を動かすたびに、その痛みが走りました。隣に座っている同僚は、まさか僕があんなに恥ずかしいことをされて、そのせいで筋肉痛になっているなんて思いもしないだろう、そう考えると、僕はまた背徳の快楽を感じていたのでした。


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