外道の群れ/団鬼六/朝日ソノラマ、幻冬舎アウトロー文庫

 大正から昭和にかけて活躍した伝説の責め絵師、伊藤晴雨の生活を、物語風に再現した小説です。縛り絵のモデルとして惚れこんでいた女性"兼代"が、ふとしたきっかけから彼の元を離れて大正ロマンの流行画家、竹久夢二のモデル"お葉"になってしまうストーリーが、当時の雰囲気のリアルな描写とともに楽しめます。
 小悪魔的な兼代のコケティッシュな魅力、本郷菊坂菊富士ホテルの高等遊民達の気ままな暮らし、晴雨が主催したマニアなサークルや、そこに集う性的にアブノーマルで個性的な人たちのおもしろさや様々な人間模様、そして何より最愛のモデルを失った晴雨の切ない気分と、その成り行きで新しいモデルを得る事になる顛末など、その情景が即座に思い浮かぶ文章は最高で、何度でも読み返してしまいます。
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