団鬼六の『花と蛇』、沼正三の『家畜人ヤプー』が掲載され、三島由紀夫、川端康成、江戸川乱歩、澁澤龍彦、寺山修司など数々の文化人も注目した、幻の変態雑誌「奇譚クラブ」。敗戦直後に産声を上げ、現代のマニア雑誌のルーツと言えるその雑誌を、業界人である北原童夢・早乙女宏美両氏が、豊富な写真や図版によって解説している本です。数十年前に発行されていたにもかからわず、緊縛写真や縛り絵、ゴムマニア、おむつフェチ、さるぐつわ、浣腸願望、女相撲、妊婦のエロスなど、現代に引けをとらない、あらゆるジャンルの性癖が網羅された雑誌だったことが分かります。また、マニア読者の投稿を広く募集し、マゾ女性の告白などは、今読んでもドキドキします。さらに、わが国最初の本格的な責め絵師「伊藤晴雨」についての記述(重度の髪フェチで、縛られた女性をスケッチしている妖しい写真も載ってます)や、投稿をきっかけとして業界にかかわるようになった濡木痴夢男氏、千草忠夫氏などについての項目もあります。マニア世界の開拓者たちの気迫に満ちあふれた誌面を、じっくりと味わってみたい方には、ぜひおすすめの一冊です。
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