大学の構内を、二人に両脇を支えられながら歩き、私たちは道路に出ました。ナツキさんが手をあげ、タクシーを呼び止めると、私たちはそれに乗りこみました。麗子さんが、運転手に行き先を告げています。裸にコート一枚という、考えられない格好でタクシーに乗り込んだ私は、頭の中が真っ白になったまま、二人に身体を預けていました。運転手さんに気づかれないかと、どきどきしながら座っていました。
すぐに車は走り出しました。恥ずかしくて顔を真っ赤にした私を見つめ、麗子さんが口を開きました。
「心配することはないわ。これから行くのは、私のマンションよ。そこにもう、みんな集まってるはずだから」
麗子さんは、優しく説明してくれます。そんな声さえ、ほとんど耳に入らないほど、私は羞恥心で身体をかたくして震えていました。
「大丈夫よ。千夏ちゃん、とっても素直だもんね」
ナツキさんが、私の頭をなでて、そう声をかけてくれると、私の緊張も少しはおさまったようでした。
車は数十分ほど走り、大きなマンションの前につきました。私たちは車をおりると、広い玄関から入り、エレベーターに乗り込みました。そして、その部屋の前に着いたのです。
そのとき麗子さんが、ポケットからアイマスクを取り出すと、私にそれをつけてしまったのです。
「さぁ、千夏ちゃん。これで少しは恥ずかしくないはずよ。たくさん楽しみましょうね」
麗子さんにそう言われても、どくどくという心臓の音が聞こえるほど、私は緊張していました。そしてドアが開けられ、私たちはその部屋に入りました。私は靴を脱がされ、中の廊下を通って、奥の広い部屋に連れて行かれたのです。
目隠しをしているので、そこがどうなっているのか、まったくわかりません。ただ、数人の人の気配がし、話し声が聞こえてきます。私たちが入っていくと、話し声はぴたりとおさまりました。
「この子が、新入生の千夏ちゃんよ。みんな、たくさんかわいがってあげてね」
麗子さんが私のことを紹介しました。すると、そこに座っている女の人たちが口々に、よろしく、よろしくね、千夏ちゃん、などとあいさつする声が聞こえたのです。その声を聞いただけで、私はあの冊子の写真、マゾの女の子がたくさんの女性にいじめられている姿を思い出し、とても興奮してしまったのです。
「この子はね、とってもいやらしい子なの…。洗濯バサミを身体中につけて、鏡を見ながらオナニーするのが好きなのよ」
ごそごそと、麗子さんが何かを取り出しているようです。私のアンケートを、みんなに見せるんだ、ということが、とっさにひらめきました。あの恥ずかしい内容を、みんなにチェックされるなんて、と考えると、私の身体は恥ずかしさで震え始めました。メンバーの方たちが、その紙を読みながら、へぇー、とか、そうなんだ、としゃべり合っている声が聞こえます。私がもう、どうすればいいのか分からなくなった時、麗子さんが私の手を取り、部屋の角に導きました。そして、そこにあるものを触らせました。それは、大きなひじ掛けイスだったのです。