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ラグジュアリー・メイド・サービス


 孝之は、50過ぎの独身男だ。
 有名大学の理系大学院を卒業した孝之は、某化学会社の研究所に就職したが、ある時ひらめいた発明により、30歳の時に会社を辞め、自分のビジネスを始める事にした。
 会社を軌道に乗せるまでには大変な苦労があったが、20年ほど経った今では、海外にも拠点を持つほど、その分野では著名な企業として認知されていた。そして彼は、その会社の社長、兼、研究所の主席研究員という立場で、自由な日々を送っていたのだった。
 最初にも断ったが、彼は独身で、結婚の経験もない。それは、理系の研究職の人間なら、割と良くある事だと言えよう。一つの事に没頭する性格、男ばかりの職場、そういうタイプと環境の人間には、なかなか異性との出会いはない。そんな中でも、上手くやる同期や友人はいたが、彼はその点については、割り切って考えていた。つまり、女性というのも、彼にとっては一つの研究対象だったのである。研究するには、たくさんの女性と、対等に付き合わなければならない。それが、彼が未だに独身である本当の理由であった。
 独立し、社長として会社を大きくするのに成功した40代なかばから、ようやく彼は、女性の研究に取りかかった。
 長期契約をしている高級ホテルのペントハウスに、色々と好みの女性を呼んでは、女性の研究、つまり、さまざまなセックス、プレイの研究に耽っていた。
 ただ、彼のもともとの性癖は、アブノーマルなものだった。
 女性にしても、普通のセックスには応じてくれても、例えば縄で縛ったり、オシッコさせたり、あるいは浣腸して排泄させたり、などのプレイを受け入れてくれる女性は少なかった。
 ただ、持ち前の研究心と執念を発揮し、50歳を超えた今では、ほとんどのプレイは体験したと、孝之は自負していた。
 しかし、孝之にもまだ経験していないプレイがあった。それは、自分のウンコを、女性に食べさせる事だ。
 いわゆる、スカトロプレイ、その中でも、究極かつ最終的なプレイである。
 さすがにそれを受け入れてくれる女性は、今までにはいなかった。さらに、拷問のように、無理やり食べさせるのではなく、自分から進んで食べてくれるような女性、そんな女性と巡り合えれば、自分の人生には悔いはないのだが、と、孝之はいつも思っていたのである。
 そもそも、なぜ、そういう行為を自分が求めてしまうのか、それは分からない。ただ、会社の社長として、孤独で決断をしないといけない局面に来た時、なぜか、その行為が頭に浮かんできた。ある意味では、ウンコを食べるというのは、人間的な全ての価値観をゼロにする行為で、それはもはや、人間の知性を超越した世界であろう。そこにはまた、人間の知性を超越した体験もあるだろう、孝之は直感的に、そう感じた。
 その超越した知性でもって、また会社の運命が切り開けるのではと思ったのである。実のところ孝之は、自分のウンコなら、もう食べた事があった。

 ラグジュアリー・メイド・サービス、通称LMS、というクラブの噂を孝之が聞いたのは、まだ孝之が40代の頃だ。そして、ようやく、ごく最近になって、LMSとコンタクトが取れるようになった。
 向こうがどのような調査をしたのかは分からない。
 ただ孝之は審査に合格したらしく、めでたく、LMSから”ラグジュアリーメイド”を派遣してもらえる事になったのだった。
 ”ラグジュアリーメイド”、その存在こそが、孝之の望みを叶えてくれるのだ。
 完璧な人間便器に調教された変態マゾ女、それが、ラグジュアリーメイドであった。
 人間便器とは、自分が排泄したオシッコやウンコを食べてくれる、便器代わりの人間、最下層であり、トップレベルのマゾヒストの事である…。

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