【2つ目の場所1】

 初めてのホモSMを体験して、その快楽に取りつかれてしまった僕は、一か月に一度くらいの間隔で、そこに通うようになりました。でも、いざお店に行く時は緊張します。そのお店までは電車で1時間弱でした。欲望が抑えきれなくなってどうしても、というレベルになるまで、なかなか出かけることはできません。
 気持ちが高ぶって来た時に、もう少し近くで楽しめる場所があったら、と思うようになっていました。
 あるとき雑誌を見ていたら、それらしい広告を見つけました。文字だけでシンプルな広告ですが、SMの文字が入っていて、僕の探しているようなお店であることは何となく読み取れました。それに、載せられていた地名は、僕の住んでいる所から数駅の距離だったのです。
 ある日の夕方、決心してその駅まで行きました。やはり駅前の公衆電話から電話をかけて場所を教えてもらうと、そこは普通のマンションの一室でした。各部屋を、受け付けの人のいる部屋、ロッカーの部屋、待ち合い室、プレイルーム、と割り当ててありました。
 ここでは、MかSかの目印として、手首に色つきのゴムひもをはめるようになっていました。また、待ち合い室には、トランクスだけで入るようになっていました。
 できたばかりで、都心からも外れていたためか、平日にはお客さんがほとんど来ませんでした。待ち合い室は普通の明るさで、テレビ、テーブル、ソファーなどがあり、せんべいなども用意してありました。とても落ち着ける場所で、よくソフトサラダという銘柄のせんべいを食べながら、テレビを見ていたのを覚えています。
 結局、最初行った時には、一時間くらい待っても他に誰も来なかったので、帰ってしまった記憶があります。トランクス一枚のまま、誰かに責められるのをずっと待っているという状況には、あまり耐えられなかったのです。
 数日後、何となくまた行きたくなって、そこを訪れました。平日だったので、やはりお客さんは来ません。縛られたい人はスタッフまで、という貼り紙が目につきました。自分から、縛って下さい、とお店の人に言うのは、とても恥ずかしくてためらっていました。しかし、誰かに責められたい気持ちが高ぶっていた僕は、とうとう勇気を出して受け付けの人に、僕を縛って下さいとお願いしてしまったのです。

つづく

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