そこはタイル張りの広いバスルームで、入り口には、洋式トイレがありました。トイレでさせてもらえるのかと思ったのですが、男の人は、トイレの下に敷いてあった足置き用の小さなクッションの上に、さっきと同じ姿勢で、僕をしゃがませたのです。頭をクッションに乗せ、お尻は、バスルームの隅の方に向きました。僕のお尻が向いた先の床には排水口があり、男の人がその金属板を取り外す、カチャカチャという音が聞こえてきます。
「いいよ、そこでして」
次の瞬間、その男の人は僕に、何気ない口調で声をかけたのです。まるで、日常会話の一部のように、それは自然な口ぶりでした。
「いいん…、、ですか…」
頭を足置きクッションの上に乗せ、お尻を高くあげるという屈辱的な格好のまま、僕は問い返しました。
「いいよ、いいよ。やっちゃいな」
軽いトーンで、また言葉が聞こえてきます。まるで、僕がお尻丸出しのまま、そこで排泄することが、あたりまえのような言い方なのです。しかしそれが、かえって僕の被虐心を高めていきました。僕は、急激に、興奮していったのです。
(こんな格好で、出すところまで全部みられてしまうんだ…。僕は、のら犬みたいに、どこででもウンチをしちゃうんだ…)
生まれたままの姿で、ウンチを出す所まですべて見られるということ、それは、僕の露出願望のひとつでもありました。極限に恥ずかしい状況を体験すると、なぜか僕の心は解放され、また、それが快楽に結びついていくのです。
僕の身体の高ぶりは頂点に達しました。その時、便意は相当に高まっていたのですが、実を言うと、まだ限界ではありませんでした。しかし僕は、自分の力で排泄を始めてしまったのです。自分の自由な意志で、人に見られながら大便を排泄していくこと、それが僕の夢だったからです。
僕は、恥ずかしい音を立てながら、ぶぶっ、ぶぶっ、と、固体の便を噴出していきました。変態になった気分で、本当にお腹に力を入れながら、便が遠くまで飛ぶように、それだけを考えていました。僕のお尻から、恥ずかしいものが噴き出していくのを、その人にじっくりと観察して欲しいと思いながら、僕は排泄していったのです。
トイレに行くのを控えていたため、自分でも、かなりの量の固形便が出たのがわかりました。まわりには、僕の恥ずかしい臭いが立ちこめていきます。その後から、けたたましい音とともに、今度は液体が出ていきました。僕の心の中には、もう、羞恥心やとまどいのような心は全くありませんでした。恥ずかしい音と臭いを出しながら、僕は汚い液体を、思いきりぶちまけていたのです。それは、とってもアブノーマルな、異常な光景だったでしょう。たぶん、僕のお尻から、強力な水鉄砲のように、茶色い液体が噴き出していったと思います。
ただ、僕にとって、それは最高の瞬間でした。例えて言うならば、射精の瞬間に近いでしょうか。しかも、数十秒にもおよぶ射精です。自分の中から全てのものが吐き出され、無になっていくという感覚でした。そうです、この”無”こそが、僕の求めていた快楽の正体だったんだと、僕は気づき始めていたのです。
やがて、全てを出し切った僕は、完全に澄みきった心になって、そこにしゃがんでいました。すると今度は、おしっこがちょろちょろと流れ出てきたのです。おしっこは、足置きクッションの上に染み込んでいきます。身体じゅうの穴を開き切っていた僕は、ためらいもせずにその全てを垂れ流していったのでした…。
つづく
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