鼻フックパーティーの午後
4
三方向鼻フック顔をさらけ出した麻里子の撮影会が一段落すると、Y氏は麻里子の後ろに立ち、麻里子を抱くように両手を前に回して、麻縄の下の服を左右に引き広げた。すると、麻里子の小ぶりな乳房はむき出しになり、その先端の乳首のふくらみまでがあらわになった。Y氏は麻里子の薄いチョコレート色の乳首を指先で軽くつまみ、その指先をこすり合わせるようにゆっくりと動かした。両方の乳首を微妙に刺激され、麻里子は後ろ手に縛られたままの身体を左右にくねらせた。目は閉じられ、口からは「あっ、あっ」という快感の吐息が漏れている。ベテランのSだけあって、Y氏はいきなり強く乳首をつねったりはしないのだろう。最初は優しく、感度を確かめるように滑らかに動くその指先一つにしても、Y氏のサディストとしての実力が想像できる気がした。
しかし、Y氏の愛撫に身をゆだねる麻里子の鼻には、もちろん強烈な三方向の鼻フックがかけられたままだ。鼻フック姿のままで、身体の敏感な部分を触られ、その反応を鑑賞される恥ずかしさ、それは体験してみないと分からない羞恥のレベルだろう。そして、マゾ女性がその究極の恥ずかしさに溺れ、溺れたところから何かを脱ぎ捨てて浮かび上がってきた時の神々しさ、それが、鼻フックプレイマニアの求めるものの一つではないかと思う。簡単に言えば、鼻フックで責められる麻里子は、そのプレイの中で女神に昇華するという事なのだ。僕たちは、三方向鼻フックで鼻の穴を全開にしたまま、乳首をイジられあえぎ声をあげる麻里子を、一瞬見守った。だがやはり、見るだけでは飽き足らず、女神の与えてくれる羞恥のシーンを、再び強烈にカメラに収め始めたのだ。やがて麻里子の両足から、だんだんと力が抜けてきたのか、足下がおぼつかなくなってきた。Y氏はそんな麻里子を支えながら、ゆっくりと腰を落とさせ、膝立ちのポーズにした。麻里子の頭が低くなったので、Y氏は麻里子の頭を上に向かせた。みんなは覗き込むようにしながら、むしろ先ほどよりも激しく、鼻の奥まで撮影しようと頑張っている。すると、半開きになった麻里子の口の中に、Y氏は中指を軽く差し入れた。
「女性のここっていうのは、性感帯なんですよ。まぁ男性もそうですが」
Y氏はそう言いながら、麻里子の口に差し入れた指先を、上あごの、前歯の裏あたりで動かしたようだった。するとその瞬間、縛られて膝立ちの麻里子の身体が、ビクっと震えた。自分の舌先で前歯の裏を上に探っていくと分かると思うが、そこはたしかにくすぐったく、独特の感触がある。Y氏に口の中を撫でられながら、さらに高ぶっていく鼻フック姿の麻里子は、まさに女神だった。最初は引いていた、あのカップルの女性も、今はそんな麻里子のオーラに吸い寄せられるように、呆然とした表情で鼻フック姿の麻里子を眺めている。
やがて、「じゃあ、お触りタイムにしましょうか。優しく触ってあげて下さい」とY氏が言い、後ろ手膝立ちの麻里子をゆっくり膝をついたまま歩かせると、まず輪の端にいる男性のところに近寄らせた。男性は、膝立ちになっている麻里子の胸に、そっと手を伸ばした。そして、その滑らかな若い肌の感触を確かめるように、ゆっくりとなで回していく。そしてやがて、遠慮がちに、指先で麻里子の乳首に触れた。
「はあっ…」
麻里子が首をかしげながら甘い吐息を漏らす。男性は興奮してきたのか、さらに両方の乳首をつまむようにした。
「んんっ、あぁ…」
三方向鼻フック姿の女神が、自分一人のために、その全てを見せてくれる瞬間だ。男性は、片手で乳首をつねりながら、鼻フック姿の麻里子の顔を様々な角度からカメラに収めていった。
「口の中も、少し触ってもらおうか」
Y氏のうながす声に、麻里子はおずおずと口を開いていく。男性は麻里子の口の中に指を差し入れた。
「前歯のつけね、上あごのあたりをゆっくり触ってやって下さい」
麻里子は男性の顔を見つめたままで、ビクッ、ビクッと身体を震わせる。また男性は、その光景を丹念にカメラに収めていったのだった。
続く
表紙へ