「そう言えば、洗濯バサミが好きなのよね、千夏ちゃん」
 みなさんに身体をまさぐられ、もうろうとする私の耳に、麗子さんの声が聞こえました。そして、
「ちょっとやってみてあげてよ」
と、麗子さんが言ったのです。その直後、私のお腹のあたりを誰かがつまみ、そこにするどい痛みが走りました。そう、それはもう、幾度となく味わった、洗濯バサミの痛みでした。
「はうっ…!」
押さえつけられた身体をのけぞらせ、私は悲鳴を上げました。
「とっても痛そうね…。あなたも、一つつけてあげたら?」
また別の誰かが私の身体を触り、そこにびりっと痛みが走ります。私は、ひいっ、と声を上げ、目から涙がにじみ出ました。
「ほら、おっぱいにもつけるといいんじゃない?」
 麗子さんが、私の乳房をなで回しながら、みなさんに声をかけています。次々と私の胸に手が伸びてきて、洗濯バサミが、どんどん私の乳房を責め立てました。もう、身体の表面が、じんじんとする痛みにおおわれ、それは熱い波のように私の中をうねっています。そのうちに誰かが私の乳首をなでると、びーん、とそこを痛みが襲いました。とうとう乳首にも、洗濯バサミをはさまれたのです。
「ふうっ…!はぁっ…!」
 私は痛みにあえぎ、肩で息をしながら、必死にその責めに耐えていました。しかし、私のアソコに感じる快感のせいで、それは痛みと言うより、何かもっと激しい快楽へと変わり始めていたのです。
「んんっ、あはぁ…」
 もう、それが痛みなのか、快感なのか分からないほど、私の身体は高まり、燃え上がっていました。今、私は、恥ずかしい格好で、体中に洗濯バサミをつけられて、マゾの快感におぼれているのです。そのいやらしい、変態な姿を、みなさんに見て頂いているのです。そう思った時、私の頭の中で、もう一人の自分が、その光景を遠くから眺めている気がしました。
(あんなに恥ずかしい格好で、あんなにたくさんの方々に観察されて、とっても幸せそう…)
でも、それはまさに、私自身の姿なのです。初めて麗子さんとナツキさんに出会って以来、ずっと憧れてきた現実を体験した私は、喜びにうち震えていました。私は、涙を流しながら、ほほ笑んでいたのです。
「ほら、とってもいい顔になってきたわよ…」
麗子さんが、私のほほをなでながら、みなさんにしゃべりかけています。
「千夏ちゃん、気持ちいいの…?」
まだ顔さえ知らない誰かからそう声をかけられると、私は、
「はい…。とっても…、気持ちいいです…」
そう、口に出していたのでした。

続く
表紙へ