(今、誰かがドアを開ければ、この恥ずかしい格好を見られてしまうんだ…)、そう思うと、私の気分は一気に高まりました。私は、アソコをぐちょぐちょとかきまわし、エッチな声をあげながら、興奮の絶頂に達してしまったのです。
 その時、隣の個室に誰かが入る気配がしました。私は声を押し殺し、高ぶった身体をしずめました。隣からは、カラカラとペーパーのホルダーを回す音がしています。そして、とんとん、と、その人が壁を叩いたのです。
「ねぇ、そっちに紙ある?」
そう、声が聞こえました。
 私はあせってうろたえてしまい、
「え、えぇ、あ、あります…」
と、言葉を返しました。
 すると次の瞬間、ガタっと音がして、仕切られている壁の上から、誰かの顔がのぞいたのです。便座の上に立ち上がったのでしょう。それは、ショートカットの女の人でした。彼女は全裸の私を目にすると、驚いた表情になりました。そして、私の恥ずかしい身体を、じろじろと眺め回したのです。(どうしよう…)と思い、頭の中が真っ白になっていくうちに、その顔はひっこんでしまいました。
 しかしすぐにその人の顔がもう一度のぞくと、彼女は、一枚のビラを差し出していました。
「後でここに来てね、場所かいてあるから」
 その人に優しくそう言われると、私はなぜか裸のまま立ち上がって手をのばし、そのビラを受け取ってしまったのです。

 ビラには、『白ゆりクラブ』というサークル名と代表者の連絡先、それに、サークル部屋の場所が書いてありました。何をするサークルなのかは、わかりませんでした。恥ずかしい様子を見られてしまった私は、そこに行くことをためらいました。でも、勇気を出して、そのサークルを訪れることにしたのです。あの女の人の優しい雰囲気に、心をひかれていたからでした。  

続く
表紙へ