第八章

「では、そろそろ行きましょうか」
えっ、と昌一が聞き返すと、忠弘は、庭の一角を指さした。
「あそこで、真奈美を調教してやるのです」
 暗くてハッキリとはしないが、そこにはぼんやりと、はりつけ台のような物が見えた。忠弘は、娘のお尻を軽くムチ打って、
「さぁ」
と促した。
 昌一が持つリードを引っぱりながら、四つんばいの真奈美は、ふたたび庭を歩き始めた。
「ふうん、ふうん」
何とも悩ましげな声をあげながら、メス犬のように歩く真奈美を見て、昌一もすっかりサディストの気分になっていた。
「ムチを、使ってみたいのですが」
 忠弘に、そう申し出て、昌一はムチを渡してもらった。真奈美の白いお尻に、昌一は、それを軽く振り下ろしてみた。
「くふうん」
 真奈美は、感じ切った声を漏らす。今夜の真奈美は昌一君のメス奴隷ですから、忠弘にそう言われると、昌一はいっそう強く、真奈美の裸体にムチを振り下ろしていくのだった。
(これが、サディストの快楽なのか…)
はじめてのムチを、じっくりと味わうように、昌一は真奈美の身体に、なんどもムチを与えていった。
 やがて、はりつけ台の所についた。はりつけ台は、人間の背丈ほどの丸太を、縦横に組んだものだった。忠弘は、真奈美を立ち上がらせると、両腕を大きく開かせ、そこに手首をしっかり縛りつけた。そして、両足も大きく開いて縛りつけた。
 真奈美を固定し終えた忠弘が、そばにあったスイッチを押すと、ぱっとランプが灯り、そこは昼間のように明るくなった。こうこうと照らし出されたランプの明かりの中に、大の字に縛りつけられた、真奈美の裸体が妖しく浮かび上がった。
 昌一から、再びムチを受け取ると、父親は、ムチの先端で真奈美の身体をやさしく撫でながら言った。
「今日も、たくさん調教してあげようね」
はい、と、真奈美が小さい声を出した。
「お父様、御調教、よろしくお願いします」
そう、マゾ奴隷の挨拶をする。
それを聞いた忠弘は、少し下がって、ムチをかまえた。

続く
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