その時、きれいなフリルのスカートに着替えた真奈美が姿を見せた。いつも見なれている彼女よりも、少し大人びた雰囲気だ。わずかだが、化粧もほどこしているらしい。
「これは、別荘にいる時に、お客さまを出迎えるお洋服なの。先生も、今日は私のお客さまよ」
真奈美は、ちょっと不思議なことを言った。
「お客さま?」
昌一が聞き返すと、
「私達は、ここにいるあいだに、客を呼んで、もてなすことが度々ありましてね。ここの方が、みなさんにもリラックスして頂けますし。それで、真奈美にも、お客様用のドレスを作ってやった訳なのです」
そう、忠弘は説明した。
「のちほど、夕食になったらお呼びしますので、よろしければ、ニ階の客室の方でおくつろぎ下さい」
忠弘にそう言われると、昌一は、真奈美に案内されて客室に向かった。
隣を歩く、いっそう可憐な真奈美の姿を見て、昌一は思わず口にした。
「今日の真奈美ちゃん、いつもよりずっと大人びてるよ。そのドレスも、とっても良く似あってる」
恋人にも言ったことのないセリフを、真奈美にかけていた。
「そうですか。ありがとうございます。今日は、先生に、いっぱい御奉仕させていただくつもりですので、よろしくお願いしますね…」
なぜか、真奈美は恥ずかしそうな表情を浮かべながら、そう昌一に言ったのだった。
真奈美に丁寧な言葉をかけられると、またいやらしい妄想が浮かんでしまう。
「あんまり、気を遣わなくていいよ、僕はただの家庭教師だから」
妄想を打ち消すように、昌一はそっけない口ぶりで、真奈美に言葉を返した。
客室で一息入れた頃、夕食の知らせを受けると、昌一は食堂に降りていった。