ファイナル・キャット・エクスプレス

3

「エッチなところを撮られるのって、興奮するのかな?」
 店が終わった明け方、部屋に帰ると、チカは卓也に聞いてみた。
「興奮するというか、落ちつくかも」
「たっくんもあるの?撮られたこと」
「あるよ。『MUJYOU』のマスターに。縛られて、おちんちんの毛を剃られて、浣腸されながらパシャパシャって」
「それで、落ちつくの?」
「うん、落ちつく」
「落ちつくの?おちんちんの毛をじょりじょり剃られてお浣腸されながら写真に撮られて?」
「興奮する、っていう気分でもないんだよね。うん、落ちつく。体験してみないと分からないとは思うけど。いろんなアクを吸収してくれる、って言うかさ」
 卓也が説明しているのは、料理のアクの事だろうか。スープをぐつぐつ煮ていくと、表面に浮いてくる、あのアク。カレーを作るときに、しゃもじでアクをすくう作業はチカも好きだ。
「じゃあ、撮られるということは、自分の中に溜まっている余計な物を取ってもらうってことなのかな?」
 うーん、まぁ、そんな感じかも。卓也は眠そうな目をこすりながら答えてベッドに倒れ込んだ。

「オス猫ってさ、発情期になると毎晩、メス猫を求めて外を出歩くらしいんだよね。それで、他のオスと戦って、ボロボロになっても、また次の夜には出かけるんだって。本能だから。切ないよね」
 チカは、いつか卓也が漏らした言葉を思い出していた。卓也は生殖本能に疲れたオス猫なのかな。
 それなら、私も生殖本能に疲れたメス猫かも、そう思いながら、チカはすやすや寝入る卓也の耳元で一声、「にゃおん」と鳴いてみた。卓也が少し笑った気がした。

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